個別指導塾のフランチャイズ開業にかかる準備期間はどのくらい?
「個別指導塾の経営をしたいけどそのノウハウを持ってない」と嘆いているような人におすすめなのが、個別指導塾に特化したフランチャイズチェーンです。大手の学習塾が手掛けていることが多いため、安心で安定した収入を得やすいのもメリットです。ただ、始める前から分からないことばかりでなかなか一歩踏み出せないという人もいるでしょう。
単純に開業するなら最短で1カ月半ほど
まず手っ取り早く準備期間を最短でできる方法があります。それは講師自身が務められるスキルを要しており、指導できる教室をすでに持っているといった条件が限定されています。
学習塾で指導していて独立するため、自宅をリフォームして学習塾を開きたいと考えている人がそれに該当するのです。この場合は、フランチャイズチェーンによっては契約するだけで始めることができるため、その契約にかかる時間だけで済みます。
ただし、誰でも簡単に契約できるというわけではありません。ネームバリューを提供するため、ある程度の実力が伴っていなければ他で契約を結んでいる個別指導塾にも迷惑をかけかねません。審査で面接やスキルの有無を確かめつつ契約を結ぶこととなるため、1カ月半から2カ月ほどかかるケースが多いです。
審査といっても、先述したような学習塾で指導を受けていたのならば十分に通る可能性が高いですし、前歴がそのフランチャイズの系列でなくても何ら問題はありません。大切なのは、指導者・運営者としての適性が重要となるのです。
つまり、基本的に講師・教室・契約、この3つの条件さえクリアさえすれば開業することができますが、すぐにそれらを揃えられる人はなかなかいません。そして、後述しますが、開業するためのタイミングも重要となるため、シンプルに最短で1カ月半で開業できるもののあまり現実的とは言えないでしょう。
最大の難関は教室の物件探しと人材探し
では、現実的なステップはどうなるのでしょうか。まず事業説明会が設けられ、そこで納得されたら契約を結ぶに足りる人物か審査されますが、ここまではどのフランチャイズチェーン・どの希望者でもほぼ同じ工程を踏み1カ月半ほどかかります。
そこから、指導経験がない場合はトレーニングを積むことになりますが、その期間は最短でも1カ月ほど設けていることが多いです。生徒との接し方なども含めた指導方法以外にも、塾を運営するための手続きや方法などがトレーニングされます。
希望者本人がオーナーに専念して指導せず指導者を雇う場合はトレーニングが除外されますが、そのケースはほとんどありません。トレーニングを経て教室もすぐに見つかれば、事業説明会を受けてから早ければ3か月ほどで開業にこぎつけられますが、問題は教室です。
トレーニングと並行して指導塾を開くための教室を探すことがほとんどですが、いくら指導能力があっても教室が見つからないかぎりは開業することができないのです。フランチャイズの協力を得て教室探しするところも少なくありませんが、テナントの空き教室が簡単に見つかるとは限りません。
立地の良いテナントはすでに他の学習塾や習い事の教室に使われているケースが多いですし、空いていても賃貸料が高く経営的に借りにくいこともあります。だからと言って、立地条件の悪い場所では、通いにくくなるため生徒が集まりにくくなる可能性もあります。このため、教室探しで難航して準備がなかなか進められないケースもあり、この点は大きく運に左右されるところです。
また、個別指導といえども小人数(総勢50人ほどまで)の小規模な教室であれば希望者1人で運営することができますが、それ以上となると1人では到底生徒を指導することはできません。
そのため、別の指導者を雇う必要がありますが、そこでも時間を要するケースがあります。開業したてのときは、運営に不安が寄せられるため正社員を雇うことは難しいためアルバイトを雇うことが多いです。もちろん、素人なので指導能力を身に付けさせるトレーニングを積んでもらう必要がありますが、時間がかかります。
最初はオーナー1人で運営して、徐々に生徒や指導者を増やしていくスタイルをとるケースも少なくありません。このように、多くのケースで準備期間でネックとなるのは、教室の物件と指導者の人材の2つの確保となるため、それさえ決まればスムーズに準備が整っていくでしょう。
準備期間よりも開業するタイミング
ここまでは純粋に開業するまでの準備期間について述べてきましたが、実はそう単純な話ではありません。何故ならば、個別指導塾の運営で必要不可欠な生徒についてほとんど語ってこなかったからです。
生徒が入らなければいくら素早く開業したからといっても経営が成り立たないため、そこで重要なのが準備にかかる期間よりも開業するタイミングとなります。生徒が入らない状況で開業しても借りている教室の賃貸料で赤字になるばかりなので、生徒が入塾しやすいタイミングに開業することで経営の軌道を乗せやすくできます。
では、生徒が入りやすい時期というと学年が一つ上がる年度が切り替わる時期、つまり3月下旬から4月上旬であり、この頃が開業に適したタイミングとなるでしょう。そこから逆算して開業までのスケジュールを組み立てていくことが大切となってくるのです。
新年度に合わせて開業が決まっても生徒を集めておく必要があるため、開業の2か月から3か月前から宣伝をする必要がありますし、宣伝するからには指導者や教室にある程度目星をつけておかなくてはなりません。
そのため、開業に向けての準備期間よりもどの時期に準備をスタートさせるかが大切となります。多くの場合は10月頃からスタートしますが、どんなに遅くても12月頃から始めないと、新年度に合わせて開業することができません。
そして、多くの人々が気になるのが資金です。フランチャイズの契約や貸し教室の賃貸料、指導者を雇う場合はその人件費、さらには開業したことを知らせる広告費など多岐に費用がかかってきます。個別指導塾の開業資金は、フランチャイズや運営する地域によっても異なってきますが、800万円前後は必要だと言われています。その資金を準備する時間も考慮する必要があると思われるかもしれません。
ただし、多くのフランチャイズチェーンでは独自の融資プランを用意していますし、個別指導塾は経営が安定しやすく大手のフランチャイズのお墨付きを貰えるなら銀行からの融資も受けやすいのです。
すでに借金を抱えていたりブラックリストに載っているなど特殊な事情を除き、資金を融通しやすいためお金を借りる時間はそれほど考慮する必要はないのかもしれません。
フランチャイズでの個別指導塾の開業までの準備期間は、指導者と教室さえ揃っていれば最短で1カ月半ほどで足りますが、現実ではそう簡単ではありません。その指導者と教室の確保に手間取ってしまうケースが多くあります。
準備期間よりも新年度に合わせて開業するタイミングが大切で、それを逆算して準備を整えていくことで10月頃から準備に取り掛かるのが良いでしょう。開業すると経営が安定しやすいため融資を受けやすいため金銭面での準備はさほど難しくはありません。