塾経営のフランチャイズ!本部側にはどんなメリットがあるの?
フランチャイズは、企業が自社のビジネスモデルやブランドを他者にライセンスすることで、迅速かつ効率的に市場を拡大する手段です。加盟者にとっては、かんたんにビジネスに参入できるメリットがありますが、本部側には一体どのようなメリットがあるのでしょうか。本記事では本部側のデメリットも含めてくわしく解説します!
新規事業として教育ビジネスに参入する企業が増えている
近年、新規事業として教育ビジネスに参入する企業が増加しています。この動向は、新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした教育環境の変化、そして社会全体の教育ニーズの多様化が背景にあります。以下では、なぜ教育ビジネス市場が拡大しているのか、その理由を解説します。
オンライン教育サービスの普及
コロナ禍により、外出が制限される中で、オンラインサービスの需要が急増しました。教育の分野でも、学校や塾に通うことが難しくなったことで、オンライン授業が急速に普及したのです。この変化は、ユーザー側のニーズを大きく変えました。多くの学生がオンライン授業を経験し、その利便性や効果を実感したことから、オンライン学習に対する需要が高まり続けています。これにより、オンライン教育サービス市場も拡大しています。
学習サポートを求める学生の増加
学習サポートを求める学生が増えたことも、教育ビジネスの需要を押し上げています。対面での教育が難しくなったことで、学生たちの学習の遅れや不安が増加しました。その結果、従来の授業に加えて、個別の学習サポートやメンタルケアを提供するサービスの需要が高まっています。企業は、こうしたニーズに応えることで、新たな収益源を確保できると考えています。
大人向けの学習環境・教材の需要の増加
子どもだけではなく、大人の学習需要も増加しています。たとえば、ビジネスパーソン向けのスキルアップ講座や資格取得のための教育サービス、語学学習や企業研修など、大人向けの教育市場は拡大しています。コロナ禍によって一時的に中断されたものの、多くの人々が学び続けたいと考えており、企業にとってはこの分野も大きなチャンスとなっています。
フランチャイズは本部側にどんなメリットをもたらすのか
教育ビジネスへの新規参入を目指す方にとって、フランチャイズという選択肢は魅力的に映るでしょう。しかし、フランチャイズの加盟者側のメリットは理解できても「いったい本部側にどんなメリットがあるのだろう」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、フランチャイズという仕組みが本部側にどんなメリットをもたらすのか解説します。
未開拓市場への進出
フランチャイズ本部は、加盟者の地域ネットワークを活用して未開拓市場に進出できます。これにより、企業は従来の自社資源では難しかった地域や市場において、迅速に知名度を高めることができます。たとえば、コンビニエンスストアや飲食店が新しい県や都市に進出する際、地域に根ざした加盟者のネットワークを活用することで、効率的に地元の顧客を取り込むことが可能です。また、フランチャイズ加盟者がすでに築いている信頼や関係を活かすことで、新規市場でのリスクを最小限に抑えつつ、スムーズな展開が期待できます。
ブランド力アップにつながる
フランチャイズはブランド力の向上にも寄与します。統一されたブランドで複数の店舗を展開することにより、消費者に対して一貫したイメージを提供できます。これにより、加盟店の数が増えるほど、ブランドの認知度や信頼度が高まり、結果として企業全体のブランド価値が向上します。とくに飲食業や小売業など、消費者のブランド認識が購買行動に直結する業界では、この効果は非常に大きいです。
結果的にコスト削減につながる
フランチャイズは本部にとって、資金リスクを低減する手段ともなります。新店舗を開設する際、通常であれば本部が設備投資や運営資金を負担しなければなりませんが、フランチャイズモデルではこれらのコストを加盟者が負担します。これにより、本部は資金負担を軽減しつつ、複数の新店舗を展開できるのです。さらに、加盟者は自らの資金を投じるため、事業運営に対する意識が高く、成功へのモチベーションも強いため、店舗の運営効率も高まります。
安定した収入源になる
フランチャイズ本部は加盟者からのロイヤリティやフランチャイズフィーによって安定した収入を得ることができます。これにより、本部は事業の成長を持続的に支える資金源を確保しつつ、リスクを分散させることが可能になるのです。
フランチャイズ本部側にデメリットはある?
フランチャイズビジネスは、迅速なブランド拡大や安定した収益源の確保を目指す企業にとって魅力的な選択肢です。しかし、フランチャイズ成功には本部に多くのメリットをもたらす一方で、いくつかのデメリットも存在します。本部側が直面する課題を理解することは、長期的な成功を見据えた戦略的な意思決定において重要です。
加盟者の手腕によって売上が左右される
フランチャイズ本部が抱える大きなデメリットのひとつは、加盟者次第で売上が大きく左右される点です。フランチャイズモデルでは、各店舗の経営は加盟者が主体となります。つまり、加盟店ごとにサービス内容や品質に差が生じ、加盟者が十分な企業努力を行わなかった場合、店舗の売上は伸び悩むことが考えられます。フランチャイズ本部は、運営マニュアルや研修プログラムを提供し、各店舗の品質を維持する努力を行いますが、オーナーの経営方針や従業員のサービスレベルが統一されない場合、店舗間で顧客満足度に差が生じるでしょう。これが顕著になると、ブランド全体の信頼性が損なわれ、店舗の売上が低迷します。結果的に本部に入るロイヤルティ収入も減少し、全体の収益に悪影響を及ぼすのです。
本部側にも負担はかかる
加盟店の人材教育に時間と費用をかける必要があることも、フランチャイズ本部にとっては大きな負担です。加盟者を支援するための指導やサポートには、時間や人員、さらには金銭的な負担がともないます。加盟者が成功するためには、適切な教育・訓練プログラムや経営指導が不可欠です。本部はこれらの支援を行うために、専門的なスタッフを配置し、十分なリソースを確保する必要があります。しかし、このようなサポート体制を維持するためには、相応のコストがかかります。コスト削減のためにサポートを軽視すると、加盟者の成功が危ぶまれ、結果として本部にも悪影響が出る可能性があるため、慎重な対応が求められます。
経営の最終決定権は加盟者にある
本部側が直面するもうひとつのデメリットとして、経営に関する最終決定権が加盟者にある点が挙げられます。フランチャイズ本部は、加盟者に対して経営指導やアドバイスを提供できますが、最終的な意思決定は加盟者が行うものです。本部は加盟者に直接指示する権限を持たないため、加盟者が本部の助言を無視して独自の経営判断を行った場合、その結果として店舗の業績が悪化するリスクがあります。つまり、フランチャイズ本部が成功を収めるためには、加盟者との信頼関係を構築し、継続的なサポートを提供することが不可欠だといえるでしょう。
まとめ
教育ビジネスは幅広い顧客層を狙いやすく、長期的な関わりが期待できます。とくに、「学校での学習の遅れを取り戻したい」「オンラインでも学べる塾を選びたい」などの需要から、学習塾のニーズは依然として高いままです。そのため、教育ビジネスの一環として学習塾のフランチャイズに参入する人や企業も多く存在します。しかし本部側にはフランチャイズ展開によって、ブランド力の向上やロイヤリティなどの重要なメリットがある一方、加盟者次第で売上や業績が左右されるなどのリスクもあります。つまりフランチャイズはよいことばかりではなく、本部側にもそれなりにリスクはあるといえるでしょう。