塾へのクレーム!原因、対応、保護者の心理をわかりやすく解説
塾の経営において、クレームは避けられない問題です。クレームにつながる要因はさまざまですが、基本的に保護者からの不満によるものが多く、退塾者が出る場合もあります。悪い評判は広がりやすいため、迅速に的確な対応を行うことが必要です。本記事では、塾へのクレームの主な原因、適切に対応するための方法について解説します。
塾へのクレームの原因・保護者の心理
塾は子どもの学力向上を目指す場です。しかし、期待通りの成果が得られない場合、保護者の満足度が下がり、クレームを申し立てることは少なくありません。クレームの主な原因と保護者の心理について見ていきましょう。
成績が伸びていないこと
塾へのクレームで最も多いのが、子どもの成績が思うように伸びていないというものです。塾側は、成績が伸びていないという保護者の判断基準が、どのレベルなのかを把握しておくことが必要です。
成績の伸び方については、保護者それぞれに異なる基準があります。次の定期テストで結果を出すことを望む保護者もいれば、入試までに成績が上がれば良いと考える保護者もいます。このため、入塾時の面談で、成績についての保護者の価値観を詳しく引き出し、塾内で共有することが重要です。
また、塾の成績管理ツールを一元化し、成績上昇・下降生徒の情報を講師間で共有することも必要です。とくに成績が下降した生徒に対しては、保護者からのクレームが来る前に対策を講じなければなりません。成績が上がらない原因や理由を生徒視点で把握し、生活習慣や学習習慣の指導も徹底することが求められます。
成績に関しては常に改善の余地があると考え、対応や指導法の見直しを行いましょう。
サービスが金額に見合っていないと感じたとき
保護者が塾に対して不満を抱くもうひとつの原因は、サービスが金額に見合っていないと感じるときです。塾に通わせることは保護者にとって投資であり、成績が上がる対価としてお金を払っています。しかし実際は、入塾してすぐに成績が上がり続けるわけではありません。
そのため、成績が上がる取り組みをこれだけしている、成績上位者のような学習習慣が身に付いてきたなど、定期的に保護者に報告し、情報を共有することが大切です。とくに、高単価の個別指導形態の塾では、授業報告を迅速に行い、子どもの成長や変化を具体的なエピソードを交えて報告することが求められます。
サービスの価値は、保護者の価値観とも密接に関連しているため、入塾時の保護者面談でしっかりとヒアリングを行っておきましょう。
コミュニケーションが不足しているとき
保護者とのコミュニケーション不足もクレームの大きな原因となります。保護者は、塾で子どもがしっかりと学習しているかどうか、友達と遊んでいないかなど、常に不安を抱えています。とくに思春期の子どもは、親の質問に対して「別に」「普通」としか答えないことが多く、保護者は塾での状況を把握することが困難です。
そのため、塾側から積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。たとえば、毎月保護者に電話をかけ、生徒の良い点を報告するルールを設けることで、保護者の安心感を高めることができます。コミュニケーションは質より量が大事であり、頻繁に連絡を取ることで、保護者は何か問題があったときに相談しやすくなります。
また、生徒の様子は具体的に報告し、保護者との信頼関係を築くことが大切です。塾側と保護者が良好なコミュニケーションを維持することで、クレームを未然に防ぐことができるでしょう。
クレームが発生した場合の対応方法
塾運営においてクレーム対応は重要な課題です。適切な対応を行うことで保護者や生徒からの信頼を維持し、塾の改善にもつなげることができます。ここでは、クレームが発生した際の具体的な対応方法を解説します。
塾側に落ち度がないかを考える
まず、クレームの内容を詳細に確認し、塾側に落ち度がないかを考えます。クレームのなかには理不尽なものもありますが、塾側に改善すべき点があることも少なくありません。
どのレベルを目指して指導を行っていたか、成績向上のために具体的にどのような取り組みをしていたかを振り返りましょう。また、教育プランが明確で正確だったか、コミュニケーションは十分に取れていたかも重要なポイントです。生徒の質問への対応や補習の内容は充実していたか、生徒に対してどれだけの時間をかけて対応していたかも見直す必要があります。
これらの点を徹底的に見直し、自塾の運営に改善の余地がないかを検討することが大切です。
真摯に対応する
塾側に明確な落ち度がある場合、または落ち度があるとはっきりしない場合でも、真摯な対応が求められます。対応できることとできないことを明確にして、保護者に誠実に伝えましょう。できない要求に対してははっきりと理由を説明し、できる範囲の対応を具体的に示します。
また、予測されるクレームや要求に対して事前に準備し、迅速に対応できるようにすることも重要です。
保護者に伝えた対応や改善策については、塾全体で協力して取り組み、確実に実行しましょう。真摯な姿勢を見せることで、保護者や生徒からの信頼を得ることができるでしょう。
生徒や保護者とのコミュニケーションを改善する
クレーム対応において最も重要なのは、コミュニケーションの強化です。塾側できちんと対応していても、コミュニケーション不足で更なるクレームが起きてしまう可能性もあります。
保護者や生徒に対して、しっかりとコミュニケーションを行うことで、小さな不満や疑問を早期に解消できます。生徒の個性や人柄を把握し、それを尊重した指導を行うことも大切です。さらに、保護者や生徒が気軽に相談できるオープンなコミュニケーション環境を整えることも必要です。
クレーム回避のための工夫
クレームはどんなに気をつけていても、運営している限り避けられないものです。しかし、運営の工夫によってクレームの発生を減らすことが可能です。ここでは、クレーム回避に効果的といえるシステム化に焦点を当て、そのポイントを紹介します。
無駄な業務を見直す
徹底した無駄の削減は、クレーム回避に直結するといっても過言ではありません。塾業界ではIT化が進んでおらず、システム導入に後れを取っている場合が多いです。
たとえば、授業報告書や日報が手書き、個人情報(成績、カリキュラム、座席、月謝請求など)の管理がExcelかつ手作業、教材や授業準備(教える内容の予習や講師への指示書を含む)が手作業などがあげられます。
これらの業務を半自動化・効率化することで、生徒や保護者に対してより多くの時間を割けるようになります。その結果、クレームを防ぐサービスの質の向上につながるでしょう。
システムを活用したコミュニケーションを図る
生徒や保護者とのコミュニケーションは、対面や電話だけに限りません。システムを活用し、インターネットを利用したコミュニケーションを進めるのが有効です。
具体的な方法としては、LINEなどのメッセンジャーアプリの活用、生徒や保護者が自由に書き込めるイントラ掲示板の設置、メール送信サービス(入退室や授業進捗状況など)の利用、SNS(InstagramやTwitterなど)の活用があります。
とくに、授業の様子を保護者にできるだけ多く伝えることは、満足度や安心度の向上に非常に効果的です。
授業の進捗状況をメールで定期的に報告することで、保護者は自分の子どもの学習状況をリアルタイムで把握でき、安心感を得られます。また、SNSを活用して授業の様子やイベントの写真を共有することで、保護者との距離を縮めることができます。
まとめ
クレームは塾の規模に関係なく、少なからずあるものです。主に成績の伸び悩み、サービスの価値と費用の不一致、そしてコミュニケーション不足から発生します。クレームに対しては、真摯に対応し、改善点を見直すことが求められます。また、積極的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、小さな不満を早期に解消することが大切です。さらに、業務効率化やITシステムの活用で生徒や保護者とのコミュニケーションを強化し、クレームを未然に防ぐことが重要です。こうした取り組みが塾のサービス品質を高め、信頼を得ることにつながるでしょう。