個別指導塾の開業が増えている理由とは
近年、塾の開業にあたって「個別指導塾」を選択するオーナーが増えています。そこで本記事では、塾の開業の際に個別指導塾が人気を集めている理由や、集団指導塾との具体的な違いについて詳しく解説します。また、個別指導塾の開業方法やその流れもまとめて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
塾の開業にあたって個別指導塾が人気を集める理由
近年、個別指導塾の開業が増加しており、その人気の理由は様々です。順番にその内容を見ていきましょう。
少子化の影響
個別指導塾の人気の理由としてまず挙げられるのは、少子化に伴い1人あたりの学習費が増加したことです。少子化により生徒数が減少した一方で、1人あたりの学習費が増えたことで、個別指導塾に対するニーズが高まっています。
この傾向により、個別指導塾の開業が利益を上げやすいとされています。
質の高い授業に対するニーズの向上
次に、質の高い授業に対するニーズの高まりも個別指導塾の人気を支える要因です。生徒や保護者は、授業の質や学習環境、カリキュラムの充実を重視しています。
個別指導塾では、教師に質問しやすく、生徒一人ひとりのニーズに対応できる点が評価されています。そのため、高い授業の質を提供できる塾は話題となり、高収入を得る可能性も高まりやすいです。
低コストで開業できる
さらに、個別指導塾は小規模で開業が可能なため、低コストで経営をスタートできます。例えば、自宅を教室として利用すれば初期費用を抑えることができ、リスクを最小限にしながら開業することが可能です。
生徒数が安定して集まることが確認できてから、広い教室を借りるといった方法も取れます。このように、段階的に規模を拡大することが可能です。
専門資格がなくても開業できる
最後に、専門的な資格がなくても開業できる点も、個別指導塾開業の人気の理由です。
教員免許がなくても、教えることに情熱を持っている人ならば、個別指導塾の指導者になれます。また、資格があれば他の個別指導塾よりも信頼を得やすくなります。
個別指導塾と集団指導塾の違い
個別指導塾と集団指導塾の主な違いは、カリキュラムや料金にあります。個別指導塾では、各生徒の学習ペースや理解度に応じてオーダーメイドのカリキュラムを設定します。
これにより、個々のニーズに対応した柔軟な指導が可能です。そして、生徒は自分のペースで学習を進められます。
理解が遅れている部分や、生徒が苦手な科目に重点を置いた指導ができるため、効果的な学習が期待できます。一方、集団指導塾では複数人の生徒に同時に指導を行うため、全員が同じカリキュラムに従って学習するのが特徴です。
集団指導は一度に多くの生徒を教えるため、効率的に進められる利点がありますが、個々のペースに合わせた指導は難しくなります。料金面では、個別指導塾の方が一般的に割高です。
マンツーマンでの指導や柔軟なカリキュラムが提供されるため、集団指導塾と比べて費用が高くなることが多いです。このため、保護者は、個別指導塾のメリットである「自分のペースで学べる点」を重視する一方で、料金の高さがデメリットと感じることもあります。
個別指導塾の開業方法
個別指導塾を開業する方法にはいくつかのスタイルがあり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
自宅で個人塾を開業する
自宅で個別指導塾を開業する方法は、初期投資を抑えることができる点が大きな魅力です。賃貸料やテナント料がかからないため、経費を最小限に抑えたスタートが可能です。
1対1のマンツーマン指導や、少人数の生徒への個別指導であれば、自宅の一室に机と椅子を設置するだけで開業できます。この方法では、規模が小さいため運営が比較的簡単で、低リスクで始められる点がメリットです。
しかし、立地条件を自由に選べないため、アクセスが不便な場所にある場合に集客で苦労する可能性があります。また、自宅に生徒を招くことに抵抗を感じる保護者や生徒もいるため、集客面での課題があることもデメリットです。
テナントを借りて開業する
テナントを借りて個別指導塾を開業する場合、家賃やテナント費用が発生するため初期費用は高くなります。しかし、生徒数が増えたときに対応しやすいというメリットがあります。
テナントを選ぶ際には「居抜き物件」と「スケルトン物件」の違いを理解しておくことが重要です。居抜き物件は、以前その場所で営業していた店舗の設備がそのまま残っているため、初期投資を抑えやすいです。
一方、スケルトン物件は設備が一切ないため、内装工事が必要になります。テナントを借りる場合は、初期投資やランニングコストを慎重に検討し、事業規模に見合った物件を選ぶことが重要です。
フランチャイズに加盟して開業する
フランチャイズに加盟して個別指導塾を開業すれば、本部のブランド力や集客力を活かせます。また、フランチャイズであれば教育や経営に関するノウハウを本部から提供してもらえるため、指導経験が浅い場合でも安心してスタートできます。
とくに初心者にとっては、経営のサポートを受けられることは大きな安心材料です。しかし、フランチャイズにはロイヤリティを支払う必要があり、利益がその分減少する点がデメリットです。
さらに、教材や経営方針、営業方法などにおいて本部の指示に従わなければいけません。そのため、独自のやり方を取り入れにくいなどの制約があります。
オンラインで開業する
オンラインで個別指導塾を開業する方法は、ランニングコストを大幅に抑えることができるため、非常に魅力的な選択肢です。教室を借りる必要がないため、物理的なコストがほとんどかからず、インターネットを通じて広範囲の地域から生徒を集めることができます。
とくに、地元に適切な生徒がいない場合でも、インターネットを使えば全国どこからでも生徒を募ることが可能です。しかし、オンライン指導は対面指導に比べて生徒や保護者との信頼関係を築くのが難しいことがあります。
また、対面のコミュニケーションが減るため、生徒の学習進捗を直接確認しづらいです。このことから、モチベーション管理が課題となることもあります。
個別指導塾を開業する流れ
個別指導塾の開業に向けた手続きと流れは、いくつかの重要なステップに分かれています。以下に、これらのステップを順番に解説します。
個別指導塾のコンセプトを策定
開業を決定したら、まずは塾のコンセプトを明確にします。どのような指導スタイルを採るのか、対象とする生徒層、授業方法などを考えて事業計画を立てます。
この計画には、一度に指導する生徒数や対象年齢、指導場所などを具体的に設定することが重要です。事業計画がコンセプトに矛盾しないようにすることが成功の鍵となります。
教室用意のための物件取得や改装
事業計画に基づいて、教室となる物件を選定します。賃料や通いやすさ、保護者の送迎がしやすい場所を選ぶことが大切です。
もし複数の生徒を同時に指導する場合は、教室内の仕切り(パーテーションなど)の設置が必要です。物件選びでは、生徒や保護者の利便性も重視しましょう。
什器・備品を準備する
教室が決まったら、必要な什器や備品を整えます。主に必要なものは、机、椅子、ホワイトボード、ロッカー、OA機器などです。
予算が限られている場合は、リサイクルショップで購入する方法や、リースを利用することも検討できます。
また、教材費や学習資料も準備する必要があります。フランチャイズで開業する場合は、教材選びの手間を省ける点がメリットです。
申請書類の手続き
個人事業主として開業する場合、開業から1か月以内に税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。さらに、青色申告を希望する場合は「所得税の青色申告承認申請書」の提出も必要です。
また、自治体の定める期限までに「事業開始(廃止)等申告書」を提出することも求められます。
生徒を集める
開業準備が整ったら、実際に生徒を集めます。その方法としては、個別指導塾のホームページを作成し、SNSを活用して情報を発信することが効果的です。
また、チラシを配布したり、口コミを活用したりして、地域に密着した集客を目指します。これにより、より多くの生徒を集めることができるでしょう。
なお、フランチャイズで開業する場合は、そのブランド力を活かした集客も実現できます。
まとめ
個別指導塾の開業が増えている理由は、少子化に伴う学習費の増加、質の高い授業に対するニーズの高まり、低コストでの開業が可能な点などが挙げられます。とくに、個別指導は生徒一人ひとりに合ったペースで学べるため、効果的な指導が可能です。また、自宅開業やフランチャイズを利用することで、低リスクでスタートできる点も魅力的です。集団指導塾と異なり、個別指導塾は柔軟なカリキュラムや高い授業品質を提供できるため、保護者や生徒から支持されています。