個別指導塾におけるクレーム発生の原因とは?的確な対処法をご紹介!
塾の経営において、どうしても避けられないのがクレームです。今はSNS上であっという間に情報が拡散されてしまう時代。クレームの大小に関係なく、悪い評判が広がると、退塾者が出たり、新規入塾生が集まらなかったりという被害につながることもあります。クレーム発生の原因を理解し、もしもの時のために対処法を身に付けておきましょう。
個別指導塾でクレームが発生する原因とは?
そもそも、なぜ塾でクレームが発生するのでしょうか。クレームの多くは保護者の塾に対する不満が原因です。保護者が塾に求めるもの、塾が生徒に与えるものに違いが生じていると、不満を感じやすくなり、保護者からのクレームにつながります。ここでは、クレームになりやすい原因をご紹介します。
塾に通っているのに成績が上がらない
塾は受験対策や、成績を上げることを目的として通う生徒が多いでしょう。保護者としても、塾を頼りに、成績が上がるだろう、志望校に合格できる学力が身に付くだろうと考えて塾に通わせています。そこで、学校のテストの点数が上がらない、苦手科目が伸びないといった状況が続くと「ちゃんと指導しているの?」という不満につながってしまいます。
講師との相性が悪い
塾での講師との相性は大切です。生徒が講師に苦手意識を持っていると、学習に集中できないこともあります。聞きたいことが聞けない、頑張ってもほめてもらえない、授業時間が苦痛ともなれば、モチベーションは下がるばかりです。塾に行くのを嫌がるようになった、講師が嫌だと言っているといったクレームから、相性がよくないことが発覚することもあり、なかなか気づきにくいトラブルの一つです。
授業料が見合っていない
高い授業料を支払って塾に通わせている保護者は、確かな成果を実感したいものです。そこで成果が見られないとなると「どんな授業をしているの?本当にしっかり教えているの?」と心配になるのも当然でしょう。また、部活や他の習い事であまり頻繁には塾に通えない生徒もいます。振替制度がある塾がほとんどですが、月謝の割にあまり通えておらず、損をしていると感じてしまうケースもあるでしょう。
生徒同士のトラブル
学校生活と同様に、塾でも生徒同士のトラブルは発生します。授業中には気づきにくいことも多く、生徒が保護者に相談してわかることもあるでしょう。生徒同士の相性もありますが、通塾する時間をずらすといった対処が必要になることもあります。
クレーム発生時の適切な対処法
もし、今紹介したようなクレームが発生してしまったときには、どう対処するべきなのでしょうか。対処法を誤ると、状況が悪化してしまうこともあるため、慎重な対応が必要になります。ここでは、クレーム対応の基本を流れに沿って紹介します。
保護者の話を最後までしっかり聞く
まず、問題を解決するためには、生徒に何が起こっていて、保護者としてどうしたいと思っているかを把握する必要があります。そこで、最初に保護者とじっくり話す時間を設けましょう。
そして、話し合いの場では、まず保護者の話を最後まで聞きます。疑問に思う部分や、相手の勘違い、食い違いに気づいたとしても、口をはさまないようにします。話をすべて聞き、理解したうえでこちらの考えを伝えるようにしましょう。
途中で口をはさんでしまうと、自分の意見を否定されたと思われ、怒りをかってしまう可能性もあります。塾側に落ち度がないと思っても、話を聞く側に徹し、真摯な姿勢を見せるようにしましょう。
冷静に原因を探る
話だけ聞いても、事実関係はその場ではっきりしないことは多いでしょう。その場でなんとなく謝って解決とするのはよくありません。そこで「調査をしてまた、後日お話の機会を設けてもよいでしょうか。」と提案するのもよいでしょう。
保護者としても、その時はカッとしていても、時間を置くことで、冷静になれることがあります。クレームを受けた塾側は、塾に落ち度があったのかを確認する必要があります。保護者への説明不足がなかったか、指導内容に問題はなかったか、講師の対応として誤りはなかったか、などクレームを生んだ原因について探っていきましょう。
もし、何らかの落ち度があったと判明した場合には、塾に問題があったとして認め、謝罪する必要があります。
解決策を掲示する
原因がわかったところで、保護者に報告するわけですが、保護者は原因がわかったところで「そうですか」と納得できる人は少ないでしょう。保護者が求めるのは解決策です。次に同じようなことが起きた場合、どんな対処をしてくれるのか、同じことが起きないように塾としてどんな対策・予防策を講じるのかを知りたいと思っています。それをしっかり伝えることで、保護者はまた、安心して塾に通わせられるのです。
クレーム対応で失敗しないために!トラブル回避のポイント
クレーム対応は、問題の大きさや相手によっては、簡単に解決できず、トラブルに発展してしまうこともあります。対処法を知っておくだけでなく、上手なクレーム対応の仕方を身に付けておくことが大切でしょう。ではトラブルを回避して、穏便に済ませるために、どんなことが必要なのでしょうか。
クレーム対応のマニュアルを用意しておく
クレームは経営者だけでなく、ベテラン講師、また新人講師が対応することもあるでしょう。しかし、講師によって対応に差があると「知り合いのときはこうしてもらえたのに」と、さらに火に油を注ぐことにもなりかねません。
そこで、用意しておきたいのがマニュアルです。このようなクレームにはこのように返事をする、といったクレーム対応のマニュアルを塾のスタッフで共有しておくことによって、別の講師が対応しても、同じ対応ができるようになります。
また、講師だけでは収拾がつかない場合には、早めに塾長などの責任者が対応した方が賢明です。保護者は責任者に意見する機会が与えられることで、塾全体の問題として扱ってもらえる、重く受け止めてもらえると感じて安心したり、気持ちが落ち着いたりするものです。
会話内容の録音
会話の録音は後々、法的な問題にまで発展した場合には証拠として役に立ちます。また、あとから会話の内容を確認できるのもメリットです。クレームに慣れていないと、一方的に責められて、こちらは頭が真っ白…なんてこともあるかもしれません。会話の内容が頭に入ってこないと、適切な対応ができなくなるだけではなく、情報をうまく整理できません。
また、度を越したクレームには、毅然とした態度で接することが大切です。脅迫された、危害を加えられたといった場合にも会話の内容は証拠になります。身を守るという目的からも、相手の許可を得て会話を録音、または動画で記録を残すとよいでしょう。
クレームの原因を事前に予防する方法とコツ
塾でのクレームを0にすることは、なかなか難しいものです。しかし、クレームを減らすことはできます。先ほどご紹介したクレームの原因からもわかるように、クレームの多くはサービス・講師の質に対する不満から発生しやすいものです。
そこで、まず塾の運営方法について見直しをしてみましょう。一人の保護者が不満に思っているサービスやシステムがあるときには、ほかにも同じことを思っている保護者が大勢いる可能性があります。たとえば、月謝を下げることは難しいかもしれませんが、授業の振替可能な回数を増やす、当月中しか振替ができなかったものを、翌月までなら振替ができるようにするといったことであれば、柔軟に対応できるかもしれません。
また、保護者からの意見や不満に耳を傾ける機会を増やすのも、よい方法です。たまった不満は、いつかクレームになってしまうことがあります。保護者の不満が小さなうちに改善、解決することで、クレームにならずに済むかもしれません。保護者と話す機会を増やし、不満や不安を塾にぶつける機会を設けましょう。
保護者とのコミュニケーションの機会が少ないと感じる場合には、個人面談の回数を増やす、メールや電話相談の窓口を設置するなど、コミュニケーションが取りやすい環境に変えていく必要があります。すべての意見に応じることは難しいかもしれませんが、意見を運営に反映していくことで、保護者の満足度向上にもつながり、クレームが減ることで経営者も塾の運営がしやすくなるでしょう。
まとめ
どんなに評判のよい塾でも、クレームは少なからずあるものです。しかし、できればクレーム対応はしたくない…というのが本音ではないでしょうか。対応次第ではさらに大きなトラブルに発展してしまったり、生徒の退塾につながってしまったりするため、どんな些細なクレームであっても真摯な態度で受け止める必要があります。このようなクレームやトラブルは、日ごろからの講師、生徒、保護者間におけるコミュニケーション不足からも発生しやすいものです。こまめなコミュニケーションで、クレームのない、満足度の高い塾を目指していきましょう。