個別指導塾のフランチャイズは辞められる?契約を終了させる方法
フランチャイズで個別指導塾の開業を検討する場合、ほとんどの人は解約することを考慮していません。契約前から解約を考えたくないと思うかもしれませんが、何らかの事情で解約しなければいけなくなったときに、法外な違約金を請求されるかもしれません。この記事では契約終了の方法や違約金について解説するので、正しく理解しておきましょう。
契約終了の方法
フランチャイズ契約を解約する方法は自発的なもので「任意解約」「契約終了」「合意解約」の3種類、これに加盟店からの「契約解除」をあわせて4つになります。契約解除は手段ではありませんが、一種の解約になるので説明しましょう。
■任意解約
フランチャイズ契約条項の中に「契約期間中に加盟者が解約の申し入れをすることによって、契約を加盟者側から一方的に中途解約できる」という条項が含まれていることがあります。このような条項に基づいて行う解約を、中途解約条項に基づく任意解約と呼ぶのです。
解約条項にはさまざまな内容があり、契約後一定期間が経過した後に初めて中途解約が可能となるもの、書面による意思表示を必要とするもの、中途解約金や違約金の支払いが必要となるものなど、権利行使に一定の制限がかけられている場合があります。この方法は、契約書に中途解約条項が含まれていない場合には困難なので、どうしても契約期間中で終了したい場合には、下の項目にある合意解約や契約解除の可能性を検討することになるでしょう。
■契約終了
フランチャイズ加盟店は決められた契約期間で運営しており、満期が来たら更新するか更新しないで契約終了するかのどちらかを選択します。契約しているフランチャイズ企業によっては、契約期間中に契約終了を自己申告しないと、勝手に自動更新される場合もあるので注意しましょう。
この場合は、契約期間内に「更新しない」という通知を忘れずに行う必定があるので気をつけてください。また契約終了の通知は郵送で行いますが、内容証明郵便など証拠が残るようにしておくと、フランチャイズ企業に伝わっておらず契約終了できないというトラブルを防ぐことができます。ちなみに期間満了による契約終了には、中途解約金や違約金が発生しません。したがって、残りの契約期間が少ない場合には有力な選択肢となるでしょう。
■合意解約
フランチャイズ契約上に、中途解約が定められていないことがあります。この場合は交渉を行って契約の当事者が合意すれば、契約を中途で終了させることができるのです。これを合意解約と呼びます。合意解約は、解約条件についても当事者が合意する限り自由に定められるので、場合によっては違約金の適用除外、競業避止義務の免除なども可能となるでしょう。ただし一方的な内容ではなく、双方が納得できるように契約終了するための正当な事情が必要です。
■契約解除
契約当事者の一方がフランチャイズ契約に違反すると、契約期間中でも契約終了の意思表示をすることで契約が終了する可能性があります。これを一般に、契約解除と呼ぶのです。契約解除には、契約上あらかじめ定められた解除事由による解除(約定解除)と、民法などの法律に定められた解除事由に基づく解除(法定解除)の2種類あるのです。フランチャイズ契約は信頼関係によって成り立っているため、軽微な契約違反では契約解除できない場合があるので、注意してください。また、契約解除は相手が争う動きに出た場合、法的紛争に発展する可能性が高くなります。
契約内容の確認
契約終了するときはトラブルを避けるためにも、事前に契約内容を再確認しましょう。とくに「解除の事前通知の期間」「解除禁止期間」「支払い条件」「競業避止義務の期間」についてはしっかりと確認してください。
■解除の事前通知の期間
フランチャイズでは、中途解約や契約終了のときは事前に通知をすることが一般的です。解約したい月の3~6ヵ月前までに、通知するよう定めているところも多くなっています。この期間以外で中途解約したい旨を通知しても、解除できない可能性があるためよく確認しましょう。
■解除禁止期間
フランチャイズ契約をした直後に解約できないように、解除禁止期間を設定している企業が多くあります。人によってはノウハウやマニュアルが欲しいだけで、学んだら解約して自分で思い通りに経営したいと思うかもしれません。しかし、企業側からすればマニュアルやノウハウを渡したのに、すぐにやめられてしまうのは大きな損失があるのです。そのため、このようなケースがないように、すぐにはやめられないようになっています。
■支払い条件
中途解約での違約金は企業によって規定が異なるので、支払い条件は確認しておく必要があります。企業によっては違約金以外に、損害賠償金が請求される可能性もあるので気をつけましょう。
■競業避止義務の期間
競業阻止義務を簡単に説明すると「一定期間内は同業他社に転職または独立・起業しないこと」です。企業によっては契約終了後、一定の期間は競業禁止にしていることがあります。競業避止義務の期間は、最短でも数ヶ月、最長で3年になることが多いようです。基本的に契約終了したから自由にできるわけではないため注意しましょう。ただし、競業阻止義務は「所属していた企業の不利益となる競業行為」に適用されるので、不利益を被らない場合は自由に転職・起業できます。
中途解約する際の違約金について
中途解約では、ほとんどの場合違約金を支払うようになります。解約後も違約金が発生する可能性があることを理解しておきましょう。
■中途解約時の違約金
中途解約で支払う違約金の金額は企業によって異なるので、契約書をよく確認してください。違約金は一律で決められている場合や残りの契約期間で決まる場合、会社独自の方法で算出される場合などさまざまです。
■契約終了後の違約金
フランチャイズは契約が終了すると企業と関係がなくなるわけではなく、解約後にも条項が定められていることがあります。競業阻止義務に違反した場合、企業の名称やロゴを使用して商標を侵害した場合などに違約金が請求される可能性があり、とくに商標権侵害での違約金は法外な金額を請求されることがあるのです。
違約金が不要になるケース
契約終了や契約解除で契約を終了する場合は違約金がかかりません。また、中途解約でも任意解約の一部や合意解約の場合は、違約金が免除されることもあります。企業が中途解約で違約金を請求するのは、フランチャイズとしての統一性や信頼性を維持するためです。フランチャイズ加盟店として営業したり解約したりすることは、憲法の基本的人権に則り自由であると考えられています。
法外な違約金を請求された場合は、加盟店が自由に解除できなくなるとして解約金自体が公序良俗違反として減額もしくは免除になることがあるのです。過去には実際に、大手コンビニチェーンと加盟店による違約金をめぐる裁判が起き、違約金請求を棄却すると判決されました。
理由としては、ロイヤリティで初期投資分は回収できていること、赤字経営が続いているのに経営を存続させることは公序良俗にあたるとしたためです。もし法外な違約金を請求された場合は、法的に訴えたり弁護士に相談したりすることで、違約金の減額もしくは免除が期待できます。
このように中途解約する場合は事前に他所の判例などの情報収取を行い、契約書の内容と法律を照らし合わせるのがよいでしょう。事前に情報収集してから企業と交渉することで違約金の減額や免除になり、納得して解約することが可能となります。法律に詳しくない人は、一度弁護士事務所へ相談しに行きましょう。
フランチャイズ契約の解約方法を解説しました。契約終了する際は契約内容をしっかりと確認して、どの方法で解約するのか、違約金が必要なのか、違約金の免除や減額ができるのかを調べておく必要があります。中途解約だからといって必ず違約金を払わなければならないというわけではありません。情報収集を行い正しい知識を付けて交渉を行うようにしましょう。